カフェインのおはなし

医療情報

カフェインと頭痛との関係について説明いたします。

朝、起きたら目覚めのコーヒーを1杯飲んでから出勤するというように、眠気を抑える作用があり普段から口にしやすいカフェインですが頭痛に関係する作用もあります。時には片頭痛の予防になったり、時にはカフェインの取り過ぎで頭痛の原因になったりしています。今回は頭痛に関係する内容を含めてカフェインについて説明いたします。

カフェインの作用

作用としては眠気覚ましが代表的で、朝起きた後にすっきりさせるためコーヒーを飲んだり、仕事や作業中の眠気覚ましとしてコーヒーやエナジードリンクを飲んだりしていると思います。これはカフェインが脳内の中枢神経を興奮させることで覚醒させる効果があるのと、疲労感を取って運動機能やパフォーマンスを向上させる効果などがあります。カフェインの成分が以前は興奮剤として分類されていたことからスポーツ選手のドーピングの対象とされた時期もありました。さらにはカフェインを取ることで集中力を高めて記憶力をアップさせるという報告もあります。また、脳の動脈収縮作用があることから片頭痛に効果があるために昔は治療薬の中に含まれていました。そのほかには利尿作用があるのでコーヒーを飲むとしばらくしてからトイレに行きたくなる経験があるのではないでしょうか。さらには脂肪燃焼効果があり、運動機能向上やダイエットに効くといわれたりもします。ただし、糖分と一緒に摂るとインスリンが分泌されてこのカフェインの効果を打ち消してしまうそうです。

一般的には飲んでから約30分~1時間で血液中のカフェイン濃度は最大になるとされ、その効果は飲んでから15分くらいで現れてきて4時間くらい持続するとされます。ただし、どのようなもの(ホットとかアイスとか)で飲むのかやその人の体調などによって時間が多少変わるようです。なお、血液中のカフェイン濃度が代謝を受けて半減するのには約2時間~4時間半かかるといわれます。

カフェインを含む飲み物について

代表的なものとしてはコーヒーや紅茶、緑茶というところですが、最近ではエナジードリンクにも多く含まれています。また、カカオ豆にも含まれているのでチョコレートやココアにも少量含まれています。

どれくらいカフェインの量が含まれているかはいろいろと紹介されていますが、代表的なものとしては下記のようになります。参考までに食品安全委員会のリンクも貼っておきます。

コーヒー 60 mg/100 ml
インスタントコーヒー (顆粒製品) 57 mg/100 ml
玉露 160 mg/100 ml 
紅茶 30 mg/100 ml 
せん茶 20 mg/100 ml 
ウーロン茶 20 mg/100 ml 
エナジードリンク (清涼飲料水) 32~300 mg/100 ml(製品 1 本当た りでは、36~150 mg) 

参考:食品安全委員会が提供している「食品中のカフェイン」http://www.fsc.go.jp/factsheets/index.data/factsheets_caffeine.pdf

カフェインの摂取量について

日々の生活で身近にあって容易に摂取できるカフェインですが、適量を意識しておかないといろいろと不都合なことも発生するので取り過ぎないように注意しましょう。コーヒーなどにはどれくらい含まれているのかを確認しつつ、これくらいまで飲んでも大丈夫なのかの目安となる摂取量があります。まずは、成人の一日に摂取するカフェインの量は400㎎が上限とされています。この量をコーヒーで換算すると約667mlになり、マグカップのコーヒー約3杯分とのことです。ちなみに、スタバのグランデだとコーヒー量は470mlとのことです。ちなみに、ショートは240mlでトールは350ml。

エナジードリンクの代表としてのレッドブルでは250ml缶でカフェイン80㎎とのことなので5缶分が一日量になります。なお、ロング缶の355ml缶ではレッドブルが114mgでモンスターエナジーでは142mgのようで含有量はモンスターエナジーのほうが多めです。(ロング缶だとレッドブルは3缶まででモンエナは3缶ではオーバーします。)

青年に対するカフェインの量については摂取量を控えるように勧められています。その理由としては、成長期であるためであり、1日のカフェイン摂取量を体重1 kg当たり2.5 mg以下に控えれば大部分のカフェインを消費する青年らに影響を与えないであろうと考えられています。例えば体重50㎏の場合で125㎎以下となるので、モンエナのロング缶ではオーバーします。

小児学童時期にもカフェインの量に注意しましょう。年代別では4–6歳で45 mg、7–9歳で62.5 mg、10–12歳で85 mgとされています。コーヒーを飲まないとしても、お茶や紅茶、お菓子のチョコレートやココアに含まれるカカオ豆にカフェインが入っているので内容量に注意して取り過ぎに注意しましょう。

さらに、カフェイン摂取に注意が必要なのは妊婦と授乳期になります。妊娠中は体内からのカフェイン消失が妊娠していない時に比べると著しく遅くなり、血液中のカフェインが胎盤を通って胎児へ運ばれることによる影響が心配されています。胎児に及ぼす影響の可能性としては胎児の発育不全や低体重、早産・死産、将来の健康リスクなどです。このことから厚生労働省では妊娠した女性に対して1日当たりのカフェイン摂取量を200 mgまでにすることを勧めています。

カフェインの中毒と依存、耐性

カフェインの中毒

急性中毒を防ぐための1回あたりのカフェイン摂取量は3mg/kg体重です。体重70kgの方であればカフェイン摂取量は210mg(コーヒー換算で約350ml)です。スタバのグランデは470mlなので、一気に飲み干さないようにしましょう。

飲み過ぎると中毒症状が出現します。軽い場合は脈拍数が多くなり、イライラしたりなどの興奮状態が出現します。さらに、呼吸数の増加や胸痛、めまい、不安、震え、不眠、また消化器官が刺激されて下痢や吐き気、嘔吐が起こります。

重症となると不整脈や意識障害が起こる上、体の中では低リン血症や高血糖、高乳酸血症、横紋筋融解症が出現したりして命にかかわることもあります。

カフェインはコーヒーやお茶などといった食品からの過剰摂取以外に、医薬品に含有されている場合もあります。市販薬の総合感冒薬や鎮痛薬に無水カフェインとして配合されることが多く頭痛や風邪症状に有効です。しかし、これらの服薬に加えてコーヒーやお茶などの飲食が合わさった結果としてカフェインの量が過剰になることもあるので注意を要します。

さらに、カフェインの半数致死量(1回の摂取で半数の人が死亡する量)は約200 mg/kgなので、一般的な成人で体重が70㎏の場合、1度に14 g以上のカフェイン摂取が危険です。

カフェイン依存

カフェインを繰り返し摂り続けていると、軽い精神的依存が発生するともいわれます。これが病的になるとカフェイン依存症となります。依存症に陥りやすい理由としては、カフェインの作用(特に自律神経への働き)がカフェインを飲み続けていくたびに効果が減少していくことにあります。これは薬物耐性といわれる現象なのですが、幾つかのカフェインによる作用への薬物耐性はすぐにできてしまうことから、さらにその効果を取り戻そうとしてカフェインをより摂取しようとします。そのためにコーヒーなどをより多く飲むようになりという傾向になってしまうのですが、これは特にコーヒーや栄養ドリンの常用者に顕著といわれます。例えば一部のコーヒー飲用者ではカフェインの覚醒効果には耐性が出来ているということです。

また、カフェインの常用によって、血圧が4〜13 mmHgほど上昇する可能性も報告されていて、特に高用量のカフェインは一時的に心拍数と血圧を上昇させる可能性があります。心臓病のある人にとっては危険をもたらす可能性もあることから注意が必要です。心臓発作を起こしたことがない、または高血圧症がない人でも、心拍数が増加したり不整脈が出たりすることがあるので、摂取量の上限とされる1日あたり400 mgを超えないようにする必要があります。

カフェインの離脱

頭痛の原因のうちで、物質の離脱による頭痛でも紹介しましたがカフェインの離脱でも頭痛の原因になります。

カフェイン離脱頭痛はカフェインの日常的な摂取を中止すること自体が原因となっている頭痛です。目安としては1日200㎎を上回るカフェイン摂取が2週間以上あって、摂取するのをやめて24時間以内に発生するものとされます。通常は1週間くらいで自然に治ります。

カフェイン摂取の中止によりカフェインの離脱症状(禁断症状)が現れます。代表的な離脱症状として頭痛以外のものは落ち着かない様子でイライラしたり、集中力の低下、疲労感、過眠、胃・上半身・関節の痛みなどがあります。

市販の鎮痛薬に含まれるカフェインや他の成分への依存や離脱症状が、薬物乱用頭痛の発症に関係しているともいわれます。

カフェインを頭痛の治療で使う場合

睡眠時頭痛の治療

治療として用いる場合の代表は睡眠時頭痛の時になります。この頭痛は睡眠中にのみ頻回に繰り返し起こる頭痛発作で覚醒の原因になります。目覚めたら頭が痛かったとか、起きてしばらくしたら頭痛がしてきたという場合とは区別します。

痛みの時間は15分から4時間くらいで他に特徴となる症状もなく原因もない頭痛のこと。月に10日以上起こって3か月以上続くものです。頭部の自律神経症状や落ち着きがないなどの症状のないものとされ、群発頭痛とは区別します。他には睡眠時無呼吸症候群や夜間高血圧症、低血糖症、薬剤の使用過多による頭痛とも区別が必要です。この頭痛になる方の多くは50歳以上の人で、痛みも軽度から中等度とされますが、脳卒中などの他の病気にもなりやすい年代であることから注意が必要です。はっきりとした原因はわかりませんが、頭痛が原因となって睡眠が妨げられないような治療を勧めていくことになります。有効とされているものはカフェインの他にはリチウム、メラトニン、インドメタシンとされています。

片頭痛にも有効

脳の血管を収縮させる作用があることから、片頭痛の発作を防ぐことにも有効とされています。ただし、片頭痛の発作が月に14回くらいまでの方で一日当たり200㎎の摂取量までと言われています。これ以上の発作回数の方の場合は有効ではなく、逆に飲み過ぎの症状

飲み過ぎると気持ち悪くなったり、頭痛がひどくなったりすることがあるのと、頭痛の痛みを抑える効果はないので他の片頭痛の薬と一緒に飲む必要もあります。

いかがでしたでしょうか。身近な物質であるカフェインについて紹介いたしました。手に入りやすくて、眠気覚ましとして重宝しますし適量であれば頭痛を抑える効果もあることから便利であるものの、飲み過ぎたり飲み続けたりには気をつけないといけませんね。スッキリとした日常を送るためにも身近で毎日のように飲むコーヒーやお茶類の量に気をつけておかないと後々つらい思いをすることになることから普段の生活で注意をしていく必要があります。

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