頭痛薬が効かない!?

治療方法

トリプタンが効かない⁈

片頭痛がひどくなってきたので病院で処方された一番頼りにしているトリプタンを飲む!…が効かない!…何で!!という方は多いと思います。
確かに利きが悪くて…ということもあります。しかし、診察室でその時の話をよく聞いてい診ると薬の飲み方やタイミングがあっていないなぁ~と思うことがあります。

基本的には頭痛ダイアリーを中心に頭痛の記録を取っていただいていて、いつの頭痛で薬が効かなかったとかを記憶をたどりながら検討していくことが多いのですが、その際によくあることを基にして今回はトリプタンが効かないと感じる時にはどの様なことを気を付けて欲しいかをまとめてみました。

薬を飲むタイミング

一番多い原因としてははタイミングが早すぎるまたは遅いというパターンです。薬を処方するときにはタイミングが大切っていつも言っているので、皆さん分かってはいるようですが、でも飲めないときがあるというのが現実です。特にストレスや臭いなどで片頭痛発作が誘発されやすい人は仕事中や電車内などの移動中に頭痛が始まってしまうことが多く、仕事を中断しづらいとか車内で薬を飲むのが恥ずかしいとか様々な理由によりいいタイミングで薬を飲むことができない、ためらってしまうということです。ほかには、トリプタンを飲むと頭痛は治まるのが分かっているけどその後のだるさや眠気が困るという人もいます。

このような眠気やだるさを感じる人の中には片頭痛の発作に慣れている方が多く、ロキソニンなどの痛み止めをまずは飲んでおいてその時は我慢して、家に帰ってからもまだ頭痛が続いていればトリプタンを飲む、アミトリプチリンも飲んで寝るという感じです。

頭痛が酷くならない場合はこれで乗り切れると思いますが、多くの人はこのような感じで対応するのも難しくて吐き気が出たり、気分が悪くなったりするので、タイミングよくトリプタンを飲むことを心掛けていただきたいと思います。ひどくなってからでは薬が効きづらい段階になっているので、効かないという結果になってしまいます。吐き気が始まると飲んだトリプタンが出てきてしまった!という経験もよく聞きます。

片頭痛の薬の吸収を良くしたり、ひどくなった時の吐き気を予防したりする目的でトリプタンと一緒に吐き気止めの薬を飲んでもらうことも多いです。この吐き気止めは前もってもむことで頭痛発作が弱くなる人もいるのですが、飲むタイミングとしては予兆・前兆がはっきりしている人じゃないと分かりにくいのでトリプタンと一緒に飲むほうが確実かなと思っています。

トリプタン系の薬はジェネリックも出てますが、薬の値段が高いことと他の痛み止めよりも薬物乱用頭痛(MOH)になり易いという理由もあり、ひと月のうちに処方できる錠数が限られているので、頭痛が続いて速いペースで内服してしまうと次の外来日までに手元にある薬が無くなってしまうことを心配して飲むのを控える人もいます。あるいは高価な薬=大切な薬という感覚もあり、頭痛の切り札として大事に取っておいてしまうなどの理由も聞くことがあります。いずれの場合も大事にしているがゆえにタイミングを逃してしまうパターンなので頭痛を我慢しないで済むといいのになぁ~と感じます。

診察室ではまずトリプタンを適切に内服できているかどうか、薬の効きが足りない場合は追加でトリプタンの内服ができるので、さらにひどくなる前に飲むようにすることを心がけていただき頭痛のない状態を目指してほしいです。また、トリプタンの適切な内服が出来ているようであれば飲み過ぎてMOHにならないように注意してひと月分の処方量を増やすなどの対策が取れるので主治医と相談してみましょう。頭痛回数・日数が段々と多くなってしまっているようであれば予防療法の開始・追加なども有効です。

薬が効かなくなった

前まではトリプタン系の薬が効いていたのにだんだんと効きが弱くなったように感じるとか飲んでも効かない感じがするという場合があります。

注意点としては以前は頭痛に対して良く効いていたかどうかで、今の薬を飲むと効きはするけど長持ちしないという場合があります。薬が切れてくると追加で内服すれば大丈夫ということであれば、薬の効きが弱くなってきた可能性を考慮して内服量を増やすことがあります。しかし、毎日のように痛くなってトリプタンを飲んでいるようであれば薬物乱用頭痛(MOH)になっている可能性があります。頭痛ダイアリーなどの記録をつけているようであれば見直してみる必要があり、当てはまるようであればこの治療を行う必要があることから主治医の先生に相談してください。全然効かなくなったのであれば頭痛の性質が変わってしまった可能性が高くて変容性頭痛という概念なのですが、片頭痛が慢性化した場合と飲み過ぎによるMOHの可能性を考えます。これらの場合は特別に治療をする必要があるので、飲み過ぎには特に注意が必要です。

片頭痛ではないときに内服している

頭痛がするといってもいつも同じ原因で痛みが発生しているとは限りません。「頭が痛くなってきた」といって慌ててしまうと区別がつきづらいのですが、痛みが始まったときに少し落ち着いてこの痛みはどのタイプの感じだろうと判断がつくようになってくると飲むべき薬の区別もつくようになり効率的に対処が可能になってきます。

仕事中などで忙しい時や頭痛が始まった時にいつも冷静でいられるとは限りませんが、少しでも考えることができると今回の痛みはは片頭痛なんだろうか? 今回はトリプタンを飲むべきなのか? という判断につながっていくようになります。

いつもとは違うタイプの頭痛が続くようであると他の原因で頭痛が起こっている可能性を考えますが、といっても片頭痛じゃないから緊張型頭痛であるというような単純な区別で済むとも限らないことがあります。気づかないうちに二次性頭痛が起こっている場合があり、トリプタン系の薬が効かないだけではなくNSAIDなどの鎮痛薬も効きが悪いということであれば、改めてかかりつけの先生と相談して必要に応じた検査を受けた方が良いと思います。

いかがでしたでしょうか?
トリプタン系の薬は片頭痛の特効薬であることから、片頭痛に対しては効果があります。ただし、タイミングが重要な薬であることから片頭痛に苦しんでいる人の理解だけではなく周囲の人々(職場など)の理解も得られると薬を飲みやすくなるのではないかと思います。また、トリプタン系の効きが悪くなってきたとかどうしてもいいタイミングでの内服が難しい場合には新しいジダン系(レイボー)へ切り替えることもあるので、主治医の先生と相談してみてください。スッキリした日常が送れることを願っております。

コメント