片頭痛の治療 発作時の治療編

治療方法

片頭痛に対する治療(特に痛みのある時)を説明します。

片頭痛の発作に対する治療は飲み薬が主流です。病院で診断を受ける前にはすでにいろいろな薬を飲んでいる方が多く、そのほとんどが痛み止めです。痛み止めは市販薬のこともあれば病院で処方されるアセトアミノフェンや消炎鎮痛剤(NSAIDs)のこともあり様々です。他には片頭痛用の薬としてトリプタン系のものと片頭痛の時の吐き気をおさえる吐き気止めの薬、片頭痛に効く漢方薬などが痛いときには飲む薬の代表になります。

痛み止め

まずは、頭痛が始まるとまず痛み止めを飲む方が多いです。痛み止めとしてはアセトアミノフェン消炎鎮痛剤(NSAIDs)が代表的ですが、人により市販薬の痛み止めを以前から飲んでいてこれから飲み始める方もいます。いつも起こる頭痛が必ずしも片頭痛のひどい発作にまでならないこともあるので、この系統の薬を先に飲んでみて、効かないならば片頭痛の薬を飲むようにしている方もいます。今回の頭痛がどのタイプの頭痛であるのかを見極められればいいのですが、なかなか難しいところです。もちろん頭痛が治まればいいので、その人に合った飲み方で良いのですが、薬の飲みすぎにも注意が必要なのでこれをお忘れなく!

トリプタン系

片頭痛に対する薬としては、一昔前はエルゴタミン製剤しかありませんでした。しかし、いまはトリプタン系(選択的セロトニン作動性薬)が中心となって使われています。国内では5種類あり、成分名としてスマトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、リザトリプタン、ナラトリプタンがあります。各々の薬に特徴があることから、その人の片頭痛にあったものが処方されております。なおこれらは片頭痛発作の治療薬なのですが、発作を抑えるための薬で痛み自体を無くすものではないことと予防の効果はありません。

このタイプの薬の飲み方のコツとしては片頭痛の痛みが始まってから早めに内服(30分くらいまで)するのが理想です。痛みが始まる前に内服するとあまり効き目がないことから”薬が効かない”と誤解してしまうことやいろいろな事情から飲むタイミングが遅くなり頭痛が1時間以上経過してひどくなってから内服しても効き目が得られにくいという特徴があります。痛みだしてから時間が経つと吐き気もひどくなっていることもあり、飲んでもそのまま吐いてしまう場合があります。この吐き気を抑えて薬の吸収をよくするためにも吐き気止めの薬と一緒に内服してもらうことも多いです。頭痛の早期から吐き気が強い方の場合は内服が難しいことから点鼻薬や自己注射薬の導入を検討します。このような方はかかりつけ医とよく相談してください。

漢方薬

薬の飲みすぎも気になるという方には漢方薬を織り交ぜて飲んでいただくこともあります。典型的なものは呉茱萸湯(ゴシュユトウ)というものですが、この成分である呉茱萸が苦いので味に耐えられない方には不向きです。しかし、しばらく飲んでいると慣れてきて頭痛も治まってくる方もいます。試してみる価値はあると思う薬です。

ジダン系

片頭痛の特効薬として2022年6月より新薬が登場しました。「レイボー」というものですが、トリプタン系の薬の作用の中でさらにセロトニン受容体の1Fに作用して発作を抑えるので脳の血管の収縮をさせない点でより安全に使用できます。発売当初はこれまでの薬で眠気を感じる人にとってはこの症状が出にくいといわれていましたが、ふらつき感や眠気が出る人はまあまあいるようです。それに対策しつつ痛みを抑える方向で治療を進めていきます。

いかがでしたか?片頭痛の痛いときの治療について説明いたしました。

次回は片頭痛の発作予防の治療を取り上げていこうと思います。

徐々にですが頭痛に対する理解が深まり、少しでもスッキリとした日常を取り戻せたらいいなと思っています。

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