三叉神経痛について

その他の頭痛

三叉神経痛について説明いたします。

顔が痛くなります。突き刺すような痛みで一瞬で痛みは治まりますが、しばらくするとまた痛くなったりと繰り返し痛みが起こることもあります。顎の部分の痛みの場合では虫歯と間違えることもあります。この痛みが連発するとなると日常生活をスムーズに送ることができません。また、よく顔面神経痛という方がいるのですが、医学的には顔面神経はこの顔の部分の痛みに関係していないので、ちょっと違うなぁ〜と思っています。顔面という表現を使うのであれば「顔面の神経痛」と表現していただけるといいかなと思っています。

三叉神経は第1~3枝に分かれていて、それぞれ顔面の感覚の担当部位が決まっています。第1枝はおでこ、2枝が頬、3枝があごの感覚を担当しています。このため、痛くなる場所は大まかに分けて3つのパターンがあります。部位別の頻度としては第2枝(V2)が一番多くて38%、次が第3枝(V3)が35%、第2と3枝(V2+3)が15%、第1と2枝(V1+2)が5%、第1枝(V1)が 5%とされています。痛みが出ていないときは何ともないのですが、出始めると触ったところが痛く感じることがあり、場所によっては髭がそれない、歯が磨けない、食事が取れないなどの症状があります。

この病気になる方は40歳以上に多くて、平均の発症年齢は50代半ばと言われています。性別では男女比2:3で女性にやや多くみられます。三叉神経痛の原因による分類は3つに分かれており、典型的三叉神経痛および2次性三叉神経痛、特発性三叉神経痛があります。典型的三叉神経痛は頭の中で三叉神経の特定の部分に血管が触ることで痛みが発生するとされており、このタイプが約75%と一番多いです。この特定の部分というのは脳幹という部分から三叉神経が出てくる根元の辺りのごく限られた場所です。頭や身体の姿勢によってなったりならなかったりする場合がありますし、時間帯によっても違ってきたりします。ご飯を食べるときに嚙み始めると痛くなってくるという方もいます。痛みが続くようになってくると原因となる血管が神経に食い込んでしまっていることもあります。

次の2次性三叉神経痛は多発性硬化症という病気や脳腫瘍が原因になっている三叉神経痛で約15%とされています。特発性三叉神経痛はこれらの原因が認められないもので約10%といわれます。

三叉神経痛の治療について

三叉神経痛に対する治療方法は、典型的三叉神経だけでなく2次性、特発性でもまずは内服薬での治療を開始します。カルバマゼピンという薬が特によく効き、この薬の内服にて痛みが治まる方が約9割います。しかし、しばらく経つとこの中の2割くらいの方で薬のアレルギーによる薬疹が出てしまったり、だんだんと効き目が弱くなってきて増量が必要となり、それに伴うふらつきや倦怠感が出てきたりで内服を中止する傾向にあります。カルバマゼピンの内服が中止になった場合は効果が似ている他の薬で対処していくのですが、次によく効く薬が今のところ定まっておらずいくつかの薬を順次試していくことになります。

内服薬が効かない方や痛みがひどくて薬が飲めない場合などでは麻酔科(ペインクリニック)で神経ブロック注射をしてもらうことで対応しています。これはあくまでも一時的な治療であることためにから、時間が経つと効き目が弱くなってきて再び痛みがでてきます。ブロック注射を繰り返すのが嫌な場合はもとから治す必要があるために開頭手術によって原因となっている脳の血管の位置をずらしてもらう必要があります。どういった治療方針で治療を進めていくかについてはかかりつけの先生とよく相談してみてください。

二次性の三叉神経痛では原因により根本的な治療方法が異なります。痛みに対してはカルバマゼピンの内服治療を始めつつも、多発性硬化症の場合はこれに対する治療も同時に受ける必要がありますし、脳腫瘍が原因の場合には開頭手術により腫瘍を摘出してもらったり、ガンマナイフといった放射線治療を受けたりして腫瘍から三叉神経への影響を抑える必要があります。

帯状疱疹ウイルスが三叉神経に発生して痛みがである場合は三叉神経痛とは別の分類になります。有痛性三叉神経ニューロパチーという病気になるので、これについてはまた改めて説明したいと思います。

いかがでしたでしょうか?
いわゆる「頭」とは違う場所の痛みですが、首から上を頭部という分類にするので、この三叉神経痛も頭痛で取り扱う病気の一つになります。

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