その他の一次性頭痛

その他の頭痛

いろいろな一次性頭痛

一次性頭痛には片頭痛や緊張型頭痛、群発頭痛などのTACsによるものの他にもいくつかの頭痛があります。例えば咳をすると痛くなる場合や運動によるものや性行為によるもの、寒冷刺激によるもの、雷鳴頭痛、圧力によるもの、穿使用頭痛、睡眠時になるものなどです。

一つずつ紹介していきます。

一次性咳嗽性頭痛

頭痛の原因になるような病気がないのに咳やいきみ、息こらえで生じる頭痛のことで、通常は両側性の後頭部に起こる鋭く差すような痛みです。40歳以降に起こることが多くて、画像検査などで脳内にアーノルド・キアリー奇形などの器質性病変のないことを確認する必要があります。
通常は咳などの頭痛の原因となる動作の直後から数秒~数分で治まります。

治療方法はインドメタシンの内服が有効とされています。しかし、内服のインドメタシンそのものは国内で発売中止になっていることからこの成分のプロドラッグ(体内に吸収されてから目標となる薬剤へ変化する薬)により治療を行います。

一次性運動性頭痛

激しい運動中や後に起こる(拍動性の)頭痛で頭痛の原因になるような病気がないことを確認する必要があります。脳卒中や脳腫瘍などが認められないとこの病気ということになりますが、頭痛は特に治療しなかった場合には48時間以内に自然と治まってきます。

治療としてはインドメタシンが有効です。

一次性穿刺様頭痛

突然、鋭く差すような痛みが短時間出現する頭痛のことで、以前はアイスピック頭痛と言われていました。痛みの出ている時間は数秒で頻度も不規則なものですが、三叉神経自律神経性頭痛(TACs)とは異なり涙が出たり鼻水が出たりはしません。

これの治療もインドメタシンが有効です。

性行為に伴う一次性頭痛

性行為中にだけ起こる特別な頭痛です。性的興奮が高まるにつれて痛みが強くなるとされていて、特にオルガズム直前か同時に爆発性の強い痛みに襲われます。頻度としては男性に多くて女性の3-4倍とされていますが、ちょっと恥ずかしいことでもあるために病院を受診してもしっかりと申告できないケースもあります。一度頭痛に襲われるとその痛みは長くて24時間くらい続きます。頭痛が起こる年代には20歳代と40歳代の2つのピークがあります。

治療としては、痛みが出てきたら行為を一時的に中断して消失するまで休むことや内服薬としてはインドメタシンの内服やトリプタン系などを予防的に行為の1~2時間前に服用すると有効とされていますが、パートナーのこの頭痛に対する理解がとても重要です。

一次性雷鳴頭痛

あまりなじみのない頭痛の名前だと思いますが、雷のような感じで突然頭痛が起こり、1分未満にその痛みがピークに達します。そのあとで痛みが5分以上続く重度の頭痛とされています。くも膜下出血といったほかに原因となる病気がある場合の二次性頭痛とは区別します。そのためには画像検査を中心とした精密検査によってほかの原因がないことを確認する必要があります。

特別な治療方法はないのですが、二次性頭痛などの他の原因がないことが重要であることからよく調べたうえで治療を検討します。多くの場合は鎮痛薬による経過観察になりますが、可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)の場合は一回の検査では診断がつかないことがあるために、結果がすぐに出ないこともあると思ってください。

頭蓋外からの圧力による頭痛

皮膚を傷つけない程度の圧迫が頭周囲に及ぶことで起こる頭痛です。例えばきついヘッドバンドやヘルメット、ゴーグルをつけた圧迫が原因になっている頭痛です。

また、ポニーテール頭痛と呼ばれるものとしては髪の毛を束ねる際に引っ張られることが原因で起こる頭痛です。

これらの頭痛は原因を取り除くと治ります。

寒冷刺激による頭痛

この頭痛の説明としては頭に冷たい刺激が加わったときや冷たい物を食べたときに起こる頭痛のことです。冷たい刺激としては極寒の環境や部屋、倉庫などに頭部が無防備でさらされたときで、夏場ではクーラーのよく効いた部屋に激暑の屋外から入った時に感じる頭痛です。

冷たいものを食べたときの代表としてはアイスクリームを食べたときの頭痛で以前はアイスクリーム頭痛と呼ばれていました。冷たい飲み物でもありますし、冷たい空気を吸い込んでもなります。

頭痛が起こる場所としては前頭部の中央に強い刺されたような痛みが短時間で生じることが多いのですが、人によっては片側の側頭部や前頭部、目の奥などに発生することがあります。

かき氷を食べたときになりやすいので多くの人が経験しているのではないかと思いますが、冷たいものをゆっくりと食べた時でもなる人がいます。この頭痛は片頭痛持ちの人でなりやすいともいわれています。

貨幣状頭痛

珍しいタイプの頭痛ですが頭の決まった部分に痛みが繰り返し起こるもので、その部分には特に異常はなく、痛くなる部分の形ははっきりしていて大体の場合は円形か楕円形、直径は1~6㎝程度とされています。多くの人で痛くなる部分は頭頂部であり、この部分の皮膚に異常がないことを確認する必要があります。

痛みの程度は軽度から中くらいの人が多くて痛みの持続時間はまちまちで数秒から数時間以上続く場合もあります。

睡眠時頭痛

睡眠中にのみ頻回に繰り返し起こる頭痛発作で覚醒の原因になります。目覚めたら頭が痛かったとか、起きてしばらくしたら頭痛がしてきたという場合とは区別します。

痛みの時間は15分から4時間くらいで他に特徴となる症状もなく原因もない頭痛のこと。月に10日以上起こって3か月以上続くものです。頭部の自律神経症状や落ち着きがないなどの症状のないものとされ、群発頭痛とは区別します。他には睡眠時無呼吸症候群や夜間高血圧症、低血糖症、薬剤の使用過多による頭痛とも区別が必要です。

この頭痛になる方の多くは50歳以上の人で、痛みも軽度から中等度とされますが、脳卒中などの他の病気にもなりやすい年代であることから注意が必要です。はっきりとした原因はわかりませんが、頭痛が原因となって睡眠が妨げられないような治療を勧めていくことになります。有効とされているものはカフェイン、リチウム、メラトニン、インドメタシンとされています。

新規発症持続性連日性頭痛(NDPH)

明瞭に思い出すことのできる発現から連日性にみられる持続性頭痛のことで、痛みは特徴的なものはなくて、片頭痛だったり緊張型頭痛様であったり、または両方の痛みがあることもあります。

毎日痛みが出ることが特徴であり、痛くなった時のことははっきりと思い出すことができることが特徴なので、これらのない頭痛はほかのものに分類されます。

痛みの続く時間によりさらに区別されていて、24時間以内にいったん治まるものとずっと続くものとがあります。

典型的な場合には頭痛の既往がない人に起こりますが、これまで頭痛の治療をしていた人でもなることがあります。また、毎日頭痛が起こるので、薬を毎日飲んで過ごしていることが多く薬物乱用頭痛(MOH)になっていることもあります。

いかがでしたでしょうか?
その他の一次性頭痛はアイスクリーム頭痛のように誰でも経験するものもあれば、貨幣状頭痛などの珍しい頭痛もあり多彩であることをお伝えいたしました。珍しい頭痛の場合は治療方法がはっきりと定まっていないことが多く、今後の治療経験の積み重ねでまたいろいろとわかってくることと思います。
スッキリとした日常を取り戻すことができるように願っております。

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