オフィスワーカーと頭痛

医療情報

オフィスワーカーの中で頭痛に悩んでいる人はとても多いと言われています。特に片頭痛は女性に多いものであるのですが、職場環境においては男性でも結構な頻度で片頭痛を含む頭痛に悩まされているということがわかっています。

このような人が頭痛がするときに普段はどのように対処しているかというと市販薬を飲んで凌いだり、我慢して仕事を続けて帰ったら寝て過ごしたりすることが圧倒的に多く、病院などを受診することはあまりしていないのが現状です。今回はオフィスワーカーでの頭痛の実態としてわかっていることとその対処法を説明していきます。

まずは

2018年の調査によると都心におけるオフィスワーカーの男女比は5-6割であり、職場での男性の割合が多い傾向にあります。

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このような環境における頭痛を有する人の頻度を調査した報告があります。これによると男性も結構な頻度で頭痛を持っており、悩まされていることが分かりました。ひどい頭痛により欠勤する割合も月に7-8日(100人当たり)認められるとされ、労働効率や経済活動の低下への影響も言われています。

このような人たちがどうしているかというと、多くの場合は市販薬を飲んで休むという手段を取っており、根本的な解決策を取るまでに至っていないとのことです。さらに、周囲の雰囲気としても頭痛くらいで休むなんで甘いというようなことがあり、病院へ行くことなく自己判断での市販薬の服用や多少の痛みは我慢して勤務を続けるという選択をしているとのことでした。

その後の経過で頭痛外来を受診した人の場合、会社員では社内の健康管理者または産業医などの勧めで受診している割合が多いとされています。また、別の報告では会社員のうち男性社員の6割、女性社員の8.5割で頭痛があるとされており、普段から頭痛に悩んでいる人の割合はかなり高いことが分かっています。では、なぜ病院を受診する人が少ないのでしょうか。その大きな理由としては仕事を優先してしまい「休みたくても休めない」という環境があります。そのために市販薬でしのくとか自宅に帰って寝て過ごすことが多くなっているようです。このような状況が続くと頭痛の慢性化が起こってしまい治りにくい頭痛になってしまう、または市販薬を適正量を超えて内服し続けてしまい薬物乱用頭痛になってしまうことがあります。

片頭痛持ちの会社員

仕事が忙しいとか同僚に迷惑をかけたくないとかの理由から自分で何とかするという頭痛持ちの人が多くいます。このような人の思考としては、片頭痛はコントロールができうる病気であることが分かっていないとか、病院へ行くようなものではない、一晩寝れば治るから大丈夫、そもそも片頭痛だとは気づいていないなどがあります。また、頭痛であることを打ち明けることで仮病じゃないのかとか労働意欲が低くみられる、根性が足りないなどと推測してなかなか他人に相談できないこともあります。

となると、我慢をしたり市販薬で乗り切ったりとなってしまい、病院へ行く機会がつかめなくなります。

頭痛によるパフォーマンスへの影響

頭痛による経済的な影響として紹介したプレゼンティーズム(Presenteeism:労働遂行能力低下)があります。頭痛がするのに無理をして出勤して作業を行うことで仕事の能率が悪くなったり注意力が低下してミスをしやすくなったりします。

プレゼンティ-ズムによる「頭痛による経済的損失の多さ」に気づかない人が多いことが問題であることから、頭痛に対する治療にしっかりと取り組む必要があり頭痛の専門外来を受診することをお勧めします。専門外来を受診することのメリットは①自分の頭痛を理解する。②何らかの重大な病気が隠れていないかを調べて早期発見につなげる。③適切な薬による治療を行い、少しでも頭痛が原因となる悩みを減らす。これらのことを解決することで、ようやく仕事や家事・プライベートの充実が徐々に改善していき、パフォーマンスの向上を図ることができると考えます。

これと同時に、周囲の人の理解を得やすい環境づくりも大切で、「頭痛はサボりや根性不足ではない!」ということを認知してもらう必要があります。

まずは頭痛で辛い状態の時は無理せずに病院へ行くなり、処方されている薬を飲んで休むなりすることで頭痛を治すことを優先させる方が仕事の作業効率が上がります。自分自身の気持ちを切り替えて周囲の人にも理解してもらうような環境づくりが徐々にできていくことを願っております。

健康経営

健康経営とは従業員の健康保持・増進の取り組みが将来的に収益性などを高める投資であるとの考えのもと、健康管理を経営的視点から考え戦略的に実施することです。

頭痛に悩んでいる従業員の健康管理を行うことで生産性を向上させることが会社の経営に有益であると考えていただき、頭痛に対する治療を取り組みやすくする環境づくりをしていくことが大切です。

しかし、経営者がこのような健康経営を意識しているとは限らない上、本人の意識や周囲の環境なども健康管理上の問題点として言われています。例えば、「頭痛くらいで休むなんて」という意識があり、健康管理スタッフに相談しない傾向が強いことや健康管理スタッフ側としては「頭痛に悩む労働者」が思っている以上に多いことに気づいていないことがあります。

なかなか一朝一夕には環境づくりは出来ないと思います。が、頭痛がひどい時には休みを取るという行動をおこしていかない限り環境は変わらないと思いますので、勇気を出してお休みすることをお勧めいたします。まずは、頭痛をしっかりと治すことが大切です。

おわりに

頭痛で困っている会社員には女性が多いというイメージがあったのですが、企業の職場におけるデータを取ってみると男性社員にも頭痛で悩んでいる人が多いことが分かりました。原因としてはデスクワークなどで同じ姿勢を長時間取っていることによる緊張型頭痛が比較的多いことなのですが、頭痛を我慢して作業を続けることはいい成果を上げられない可能性が高く、しっかりと治療をすることが重要であると考えております。

スッキリとした日常を過ごせるように願っております。

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